集成材の生産工程を追ってみた

木材には大きく分けて無垢材と集成材の2種類があります。無垢材は、いわゆる「一枚もの」のことで、1本の丸太から切り出された木材のことです。木本来の質感や香りを楽しめるので、建築資材としても人気が高いのですが、ものによっては値段が高くなりがちなのが欠点。

これに対して、質感などは劣るものの値段が安く手に入る集成材という木材があります。さまざまな木を特殊な接着剤で貼り付けてできているこの集成材は、実はさまざまなところで使われています。ただ、どんな木材が使われているのか、貼り合わせているぶん強度はどうなのかなど疑問を抱く人もいるでしょう。今回はこの集成材の生産工程をご紹介します。

1.製材

「貼り合わせている」とはいったものの、はじめの形は無垢材と同じで丸太から切り出されます。

このとき、割れや節があるかないかが集成材になるか無垢材になるかの分かれ道になります。無垢材になるには割れや節といった、単体で使用する上で強度・風合いに問題がないことが前提です。しかし、切り出される丸太も自然のもの。人間の都合のいいようにすべて育ってくれるわけではありません。かといって捨てるわけにもいかないので、割れや節などを人工的に取り除き修正する集成材としての使用が考えられたのです。

2.乾燥

自然物であるため、加工の段階で再び割れてしまったり曲がってしまったりしては意味がありません。それらの問題を解決するため、無垢材も集成材も一度乾燥という工程を踏むのです。これにより、木材中の水分を、人工乾燥であれば10%以下にして曲がりや割れがないかを確認するのです。もしこの段階で曲がり、割れが確認されればその木材も集成材として利用されます。逆にいえばこの段階で特に問題なければ無垢材として加工されるのです。

3.予備切削

木には見えない部分での割れや腐りがあることも。そういった見逃しをしないために予備切削という工程を経ます。使用されるサイズにカットされるのですが、その際に割れや腐りのある部分は取り除かれます。その他に見逃しの部分がないかを確認するために、木材の表面を薄く削り、内部の状態を確認するのです。予備切削の工程を経て、等級分けと強度チェックが行われるのです。ちなみにこの予備切削は、木材の細かい形の修正を兼ねています。

4.等級区分・強度チェック

木材にも等級区分があります。主にはその木材の強度によって分けられ、その他の要素として色合いでも区分されるのです。大まかに強度が高い木材、低い木材、その中間の木材の3種類に分けられます。専用のコンピューターとローラーを使って、木材にダメージを与えずに強度が測れるようになっています。建築資材が主な用途なだけに、人間の感覚ではできない作業のため、ほぼすべての木材加工会社でコンピューターを使用した強度測定がおこなわれているのです。また、この工程で組み合わせる木材も決まります。

5.ラミナたて繋ぎ

ここまでの工程を経て、ようやく集成材としての加工が始まります。ラミナたて繋ぎと呼ばれるこの工程は、対象となる木材の不良箇所をカットし、別の木材を充てがうことをいいます。この充てがわれる木材のことを「ラミナ」と呼んでいるため、この工程の名前となっているのです。当然ですが、ただまっすぐにカットしたものに「ラミナ」を挟んだだけでは強度に問題が出てしまいます。そのため、あえてギザギザの状態で「ラミナ」とベースになる木材をカットし、そこに木材を差し込むのです。このギザギザの断面が人の指に見えるため、接続部分のことを「フィンガージョイント」と呼んでいます。

6.接着剤の塗布・幅はぎ

次に接着剤が塗布されます。この接着剤は非常に強力で、建築資材として使用されるために必要な強度を得るため、特殊な接着方法が取られます。それは接着の際に高周波熱で貼り合わされるということ。縦向きの接着はこれで終わりです。次の横向き(幅)の接着工程が、幅はぎと呼ばれる工程となります。もちろんですが接着剤を塗布してただ貼り付けるだけでは強度はもろく、とても建築資材としては使えません。そのため、接着剤を横向きに塗布し、専用の横張り機で圧力を加えながら横幅を整えていくのです。

7.圧縮

接着剤の貼り付け工程が終われば、これで完成!というわけではありません。最後にもう一度圧縮を加えるのです。大前提の話に戻りますが、集成材はいわば接ぎ木のようなもので、いくら特殊な接着剤で接着しているからといって、一枚ものである無垢材の強度と同じになるかといわれればそんなことはありません。

そのカギを握るのは密度。圧縮工程ではその密度を上げるため、ゴールドプレスと呼ばれる圧縮マシンを使って強度を高めていくのです。この工程を経て、最終工程であるプレーナー仕上げに移るのです。

8.プレーナー仕上げ

プレーナー仕上げとは、加工の段階でできたささくれや接着剤の漏れ、圧縮によってできた傷・ヘコミをきれいに修正する工程のこと。やることは予備切削とあまり変わりませんが、この工程を踏まなければ製品を手にした消費者が怪我や事故に巻き込まれる可能性もあります。そのため、徹底的に製品をきれいに整えるためにプレーナー仕上げが行われるのです。

9.品質管理・検査・梱包

品質管理・検査を経て、集成材はようやく梱包されて消費者の手に渡るのです。最後の品質管理は、機械ではわからない不良箇所などを目視、手触りといった人間の手作業で行うのが普通です。これらの工程にはすべて基準が設けられており、この基準をクリアしなければ集成材として販売できないようになっています。そのため、最終的に梱包される集成材は、見た目には継ぎ接ぎした部分があるものの、手触りや風合いは無垢材と遜色ありません。また強度に関しても何ら問題なく使用される非常にクオリティの高いものとなっているのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。集成材のイメージは変わりましたでしょうか?集成材は単なる木材の寄せ集めではなく、きちんとした工程を経て、安全安心に使用できるように加工された立派な製品なのです。決して安かろう、悪かろうのイメージで片付けられない、我々の生活に欠かせないアイテムとして今日もみなさんの生活を支えているのです。

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