フリー板とは?基本事項を押さえる

集成材という言葉を耳にしたことがありますか?

みなさまが普段から目にしている多くの木材には、集成材と無垢材と呼ばれる二種類が存在しています。

集成材の中にはフリー板と呼ばれるものもありますが、名称だけを聞いても馴染みがなく、用途もどんなものかもピンと来ないかもしれません。

しかしこのフリー板は、私たちが木材と共に生活を送る上で決して欠かせない重要な存在です。

この記事では、フリー板についてご説明します。

1.フリー板とは?

木を伐り出して木材へと加工する際、規格に合わせた寸法で裁断された木材の他に、ラミナと呼ばれる端材が出ます。

挽き板や小角材のピースであるこのラミナをつなぎ合わせて、木材として使える状態にしたものが集成材、あるいはフリー板と呼ばれるものになります。

丸太の製材段階であえてラミナを挽く工場も存在しているほど、集成材は需要の高い木材なのです。

天然の木の形状を活かして木材へと加工した無垢材や集成材は、住宅を建てる際に用いられることが多いです。

素材を活かした無垢材の方が加工品の集成材よりも優れているように思われる場合がありますが、集成材には集成材の良さがあります。

2.フリー板のメリット・デメリット

集成材、フリー板は100年ほど前にドイツで生まれた木材でしたが、その技術は日本にも輸入され、日本の住宅にも多く用いられています。

フリー板が広く普及した理由とメリットは、品質が極めて安定しているという点です。

無垢材は天然の木をそのまま加工するものですので、綺麗に木材として仕上げても木目や反りといったクセは、加工後の木材にも残ってしまいます。

それが味や風合いとなって好まれる点でもあるのですが、扱う職人の技術によっては、建物や家具などの出来栄えが大きく変わってしまうという点が長年の課題でした。

家という買い物は一生を左右する重要なことであり、職人の技量が不足していたために見栄えが悪くなったり、細部に歪みが出てしまっては困ります。

そんな問題点を克服してくれるのが、フリー板です。

無垢材の反りや歪みが生まれてしまう原因は木材に含まれる水分なのですが、フリー板は細かな木材をつなぎ合わせる前にしっかりと乾燥させる処理を施すことができます。

加工前に木材を選別することもできるため、品質や色味を統一してあらかじめ寸法を整えてしまえば、建築時の手間が大幅に省け、技術力に左右される作業工程を減らすことができます。

また、フリー板は多くの場合端材を利用して作られる木材のため、安価です。

では、デメリットとしてはどういう要素が挙げられるのでしょうか。

木材を接着剤で貼り合わせている構造のため、耐久面に少し不安が残ります。ただ、

木材としての強度そのものは明確な基準が定められているため問題ありません。接着剤は経年劣化や湿度によって、まれに剥離してしまうケースもあります。

このことから、木材を扱う職種の間では「接着剤の寿命が集成材の寿命」といったような言葉がしばしば用いられているのです。

3.フリー板の種類と用途

フリー板のメリットとデメリットの両面を説明させていただきましたが、フリー板がなければ技術面でもコスト面でも、現代の建築が成り立たなくなるのは事実です。

その重要性を踏まえた上で、現在利用されている各種フリー板の概要を説明させていただこうと思います。

まず「構造用集成材」は、用いる建造物の規模ごとに大、中、小断面集成材というように分類され、建物の構造部、橋や梁、桁といった箇所に利用されています。

次に「造作用集成材」と呼ばれるものは、ホームセンターのような店舗にも置かれていて、DIYなどに利用されることも多く、手ごろなサイズ感と汎用性の高さから最も身近な種類のフリー板です。

床や階段といった建物のさまざまな箇所や各種家具など、とにかく幅広い用途に用いられているのが特徴と言えます。

最後に「化粧ばり集成材」と呼ばれる種類です。

これは見た目の美しさを確保するために、フリー板の上から薄い板を貼り付ける加工を施したものになります。

美しい見た目を確保できることから、家屋の内装に用いられることの多いフリー板なのです。

4.まとめ

フリー板について説明をさせていただきましたが、みなさまはフリー板についてどのような印象をお持ちでしょうか。

フリー板は、非常に便利で現代社会には不可欠な木材です。木材に限らず言えることですが、何事に対しても正しい知識を持つことで、過度に恐れることなくしっかりと向き合うことができるものです。

もしこの記事を通してフリー板に対する興味を持っていただけたなら、もっと深く掘り下げて調べてみるのも面白いかもしれません。

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