ウレタン塗装の長所と短所を比べてみた

みなさまがお持ちであろう、ご家庭の木製の製品。例えば、テーブルや椅子、ベッド、棚、タンス、柱、フローリングの床材に至るまで、家具や建材のありとあらゆるところに木材は利用されています。そして、それらの木材にはコーティングが施されており、用途に合わせてさまざまな塗料を塗布しています。普段家具を利用している中で塗装や塗料を意識する機会は少ないのではないでしょうか。今回は木材の塗料についてご説明します。

1.ウレタン塗装とは

塗装に用いられる塗料にはさまざまな種類がありますが、そんな中でも汎用性が高いのがウレタン塗装に用いられるウレタン塗料です。家具に塗料を塗った際に表面を覆う膜のことを塗膜と言いますが、ウレタン塗装はこの塗膜をウレタン系樹脂で形成します。

このウレタン樹脂塗料にはいくつかの種類があり、ポリオールを主とするポリウレタン塗料、アクリルポリオールを主とするアクリルウレタン塗料などが存在します。このウレタン塗料はみなさまの日々の暮らしにも密に接しているのです。みなさまのお手元や目に見えるところに量産品の家具があれば、その表面の塗装に用いられているのは高い確率でウレタン塗料といえるでしょう。

自宅の家具はすべて特注のオーダー品で揃えているという方がいらっしゃればその限りではありませんが、概ねの家庭では少なからずウレタン塗装が身近にあります。お手元の家具に触れてみてつるつるとした光沢のある面があれば、それはウレタン塗料によって塗装が施されているものかもしれません。ウレタン塗料はかつて、家具以外に建物の外壁塗装でも大定番の選択肢でした。しかし、現在では外壁塗装においては、ウレタン塗料よりもシリコン塗料やラジカル塗料が多くなってきました。どうしてそうなったのか、次項ではウレタン塗料のメリットとデメリットを見ていきましょう。

2.メリット・デメリットを比較

ウレタン塗装の最大のメリットとして挙げられるのは、万能性です。

ウレタン塗料の質感が柔らかいため、どんな素材に塗布しても高い密着性を得られます。

伸縮する無垢材や集成材にも適しています。

その柔らかさに反して仕上がりでは表面に硬い膜ができるため、汚れやシミ、水気に強く、傷も付きにくいという大きな長所があります。汚れにくいということで、他の塗料に比べて塗り直しのようなメンテナンスの必要がないのも利点の一つとして挙げられるでしょう。また別のメリットとして、仕上げの際の色選択の幅が広く、多様な艶を出すことができるという点があります。

塗りの濃さや色味を好み通りに調整できる他、クリア仕上げという手法であれば、かすかに濡れた程度の塗布感で木材本来の色味や木目を損なわず、透明感を演出した仕上がりにすることも可能と非常にバリエーション豊かです。表面をコーティングする樹脂の塗膜の厚みも用途に沿って変更することができ、自宅用であれば違和感のない薄い塗膜に、不特定多数の人間が利用する店舗用テーブルであればより傷付きにくい厚めの塗膜にといったように、総じてカスタマイズ性が高いのが特色であり長所と言えるでしょう。

では、ウレタン塗装のデメリットは何でしょうか。

まず外壁塗装においては、ウレタン塗料はよく用いられる主要な塗料の中でも比較的耐久性に劣ります。塗布する際のコストは安めですが、塗り替えまでのおおよそのスパンが8~10年とされており、シリコン塗料の10~15年と比較すると塗り替え頻度が多い分コスト面で劣ってしまいます。ウレタン塗料にも固有の長所があるため完全に廃れてしまったわけではありませんが、主流とは言えなくなっているのが現状です。

続いて、家具に関するウレタン塗装のデメリットについてご説明します。家具についてはオイル塗装と呼ばれる手法もありますが、ウレタン塗装はオイル塗装に比べてコスト面が高価です。また、木材の内部に浸透して保護するオイル塗装と異なり、ウレタン塗装は木材の表面を塗膜で完全にコーティングしてしまうため、せっかく選んだ木材に直に触れられない点に難色を示す方もいます。経年劣化によって塗膜が剥がれてしまうことがありますが、再塗装を希望する際は専門の工場に持ち込まなければならないという点も問題で、一生モノと考える家具にはあまり適していないかもしれません。

3.まとめ

ウレタン塗装、ウレタン塗料の特徴についてご説明しました。

家の塗装にせよ家具にせよ、一度購入すればその商品の塗装とは長い付き合いになります。そのいずれにも利用されているウレタン塗装のご説明をさせていただくことで、塗装そのものの重要性についてご理解いただけたのではないでしょうか。

塗装は一長一短で用途ごとに適性があり、これを選べば正解、これが確実といった安易な答えを出しにくいものです。家具などを購入される際は、ぜひ塗装についての簡単な知識も頭に入れたうえで選択することをオススメします。

また、最近は「抗菌剤」を混ぜ合わせた「抗菌ウレタン塗装」も開発されています。よく手の触れる開口枠やテーブル、カウンターなどに適しているでしょう。

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