広葉樹の種類と特徴

木材は、大きく分けて針葉樹と広葉樹という2つの種類があり、それらは葉だけでなく、木材としても様々な違いがあることが知られています。その中でも、広葉樹に注目した場合、一体どのような特徴があるのでしょうか。本記事では、広葉樹の種類と特徴についてまとめました。また、広葉樹の代表例である、タモ・ケヤキ・ナラについて、木材としての特徴を個別にご紹介します。 

1.広葉樹全般の特徴

広葉樹をひとくくりにして考えた場合、最初に考えられる特徴は葉の形状です。針のようにとがった葉を持つ針葉樹に比べ、広葉樹は広く、平べったい葉を持っています。木材としてみた場合、広葉樹は針葉樹に比べて複雑な組織を持っており、その組織構造が広葉樹の木材としての特徴に直接表れています。木材組織は、道管と木繊維から構成されています。道管は水を運ぶための経路として、木繊維は木を物理的に支えて、立木の機械的強度を持たせるといった、それぞれの役割を持っています。

この組織構造により、広葉樹は以下のような特徴を持っています。 

・年輪

広葉樹の年輪は様々で、はっきりとしていないことも多いです。針葉樹の場合は仮道管が整然と並んでおり、年輪がはっきりと表れるのが特徴ですが、広葉樹に特徴がみられないのはなぜでしょうか。それは、組織構造が木の種類によって異なるためです。道管の配列には、環孔材・散孔材・放射孔材の3種類があり、それぞれの配列により年輪がはっきりしているもの、淡く見えるものなどの違いがあります。 

・強さ

広葉樹はとても強いです。針葉樹に比べて成長が遅いぶん、組織が詰まっており強度が高くキズが付きにくいのが特徴です。そのため、机や椅子など比較的大型の家具の材料、またフローリングの床材などとして広く使用されています。

・色

広葉樹の色はとても多彩で、暗いものから明るいものまで多種多様です。タモなどは淡い色合いをしていますが、ウルシの黄色やイエローポプラの緑色など、様々な色合いを持った木材があります。

2.タモの木材としての特徴(色調・用途・値段・その他) 

タモは家具などで利用されることが多い樹種です。落葉広葉樹の一種で、国内では北海道を中心に、海外では中国やロシアで多く採ることができます。国産のタモについては流通量がかなり減っており、また、ロシア産についても輸入制限を行っているため価格の高騰が著しいです。英語名をアッシュといい、ホワイトアッシュやヨーロピアンアッシュなどの種類が存在します。こちらもタモと同様、良質な木材として知られています。 

・用途

住宅用建材や家具材料としての用途が多く見られ、価格的にはやや高価な部類に入る木材です。しなやかで折れにくいという特徴を生かして、野球のバットなどのスポーツ用品や楽器などにも使用されています。

・色

心材は褐色ですが、辺材は淡黄白色です。クセがなく、シンプルな部屋作りに適しており、和風・洋風のどちらにも使用することができます。

・木目

美しい木目を持っており、木のどの部分をとっても均等に木目を取ることができます。その木目を生かし、タモ材を使用したインテリアにはシンプルなものが多いです。

3.ケヤキの木材としての特徴

ケヤキは街路樹としても多くの場所で目にすることができる樹種です。
こちらも落葉広葉樹の一種で、葉の淵は鋸歯上になっており、秋には美しい紅葉が見られます。高さは20mを超えるとても大きな木で、樹齢1000年を超える大ケヤキが日本国内に数点存在します。 反りや暴れといった、好ましくない性質を持つことが多いため、伐採してから木材として使用できるようになるまで何年も寝かさなければなりません。取り扱いには十分な注意が必要な木材ですが、美しい木目を持ち、寺社仏閣などの伝統的な建築物を始め、幅広く使用されています。

・用途

建築材や家具材としての利用が多いです。高級木材として特に和風建築や寺社仏閣などでよく見られ、大黒柱など”魅せる”部分でケヤキは重宝されてきました。また、その美しい木目を利用して、装飾部などでも多く使用されています。

・色

辺材は灰白色、心材は黄褐色とされていますが、個体差が大きく、その色合いは様々です。経年変化により色味は濃くなっていくため、このような特徴も楽しみの1つと考えることができます。

・木目

ケヤキの木目は非常に特徴的で、様々な木目を見せてくれます。玉杢と呼ばれる丸い模様が現れることがあり、そちらは縁起物として高値で取引されています。

4.ナラの木材としての特徴 

ナラと言えば、どんぐりの木としておなじみの樹種です。英語名はオークといい、落葉広葉樹の一種です。ナラの中でもミズナラは伐採すると大量の水が出るという特徴を持ち、木材におけるナラとはミズナラのことを指します。国内産のもの以外にも、中国産やロシア産のものが多く流通しています。特に北海道産のナラは品質が良く、ジャパニーズオークと呼ばれ世界各国に輸出されていきました。 硬く割れやすいという特徴があるため、取り扱いには注意が必要です。

・用途

硬く丈夫であるため、家具や建材、洋酒の樽など幅広い用途で使用されています。
価格帯は並程度で、それほど高くはありません。耐久性があり、キズが付きにくいという特徴から、床材として多く使用されているようです。 また組織構造上、水漏れがほとんどないという特徴を持っています。ナラの成分が溶け出すことで味わいや風味に良い影響を与えるということから、ワインやウィスキー樽としての用途にとても適しています。 

・色

明るみがあり、淡い色合いをしています。ケヤキ同様、経年変化によって深みを増していき、味わいを楽しむことができる木材です。

・木目

板目で材を取ると力強い木目が現れます。また、柾目で材を取った場合、虎斑紋(とらふ)と呼ばれる虎の毛並みに似た模様が見られることがあります。

5.まとめ 

広葉樹の中でも人気のあるタモ・ケヤキ・ナラについて個別に特徴を見てきましたが、それぞれに個性があり、それぞれの適した場所で活躍しています。広葉樹は20万種以上あると言われており、まだ見ぬ木材が世界中にあることでしょう。これから出会えることがとても楽しみですね。

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