住宅における不燃材の特徴や注意点とは?木材の内装制限を理解しよう

木材で家を建てるときに注意したいのは、木材の内装制限です。よく理解しないまま家を建ててしまうと法律に違反してしまうケースがあります。この記事では、不燃材や準不燃材などについてわかりやすく紹介します。

建物を建てる際、公共施設や住宅に関しての木材の内装制限があることをご存じでしょうか。木材をそのまま使用してしまっては法律に反してしまうことがあります。内装制限がある1つが不燃材や準不燃材、難燃材です。この記事ではそんな木材に関する注意点を説明していきます。

1.不燃材・準不燃材・難燃材の違い

住宅や公共施設の建設に用いられる不燃材と準不燃材、難燃材の3種類は、建築基準法における「防火材料」に分類されている木材です。防火材料とは、燃焼しないことや変形・き裂を生じないこと、有害なガスを発生しないことなどの基準を満たす材料のこと。不燃材と準不燃材は、燃焼しても有毒なガスや煙を発生しないことが特徴です。不燃材とは、火災が始まってから20分間は変形や燃焼をしない材料と定義されています。東集では、不燃材としてスギやヒノキなどを取り扱っています。

準不燃材とは、不燃材料のうちで通常の火災による火熱が加えられた際に、10分間は溶解や燃焼をしない木材のことです。準不燃材の特徴として、高い防じん性や高い難燃性があることが挙げられます。東集では、住宅や公共施設に用いる準不燃材として、ヒノキ準不燃材やスギ準不燃材、米ツガ準不燃材などを取り扱っています。

難燃材とは、準不燃材料のうち通常の火災による火熱が加えられた際に、5分間は燃焼や変形をしないもの。合板では、厚み5.5mm以上の難燃合板が難燃材と認定されています。難燃材は、構成成分によって有機難燃剤と無機系難燃剤に分類されます。難燃剤を使用法で分類すると、添加型難燃剤と反応型難燃剤に分類されます。難燃剤には、7mm以上の厚さの石膏ボードや難燃合板などがあります。また、不燃材は木材に不燃の薬剤を注入して防火性能を施すため、一般的な木材よりも高価な傾向があります。しかし、住宅や公共施設の建設に用いる資材は、価格帯よりも安全性重視で選択することが大切です。

2.公共施設や住宅で木材を利用する際の内装制限と不燃材を利用する際の注意点

公共施設や住宅では、1.2m以上の壁や天井に木材を使用する際に制限が設けられています。内装制限は、公共施設や住宅で火災が発生した際に、避難する人の妨げになったり有毒なガスが発生したりしないよう定められています。内装制限を受ける可能性がある住宅や公共施設では、映画館や学校、病院や百貨店などが挙げられます。多くの人が集まることが予想される天井が高い公共施設や住宅は、内装制限が定められているものであると考えると良いでしょう。3階以上の住宅や公共施設で、階段の壁や天井などに準不燃材以上の木材を用いる必要があります。しかし、スプリンクラーを設置している公共施設や住宅であれば、その限りではありません。さらに、住宅や公共施設の最上階にキッチンのような火気使用室がある場合には、内装制限はありません。

具体的に不燃材や準不燃材料を用いる必要があるのは、1階部分にキッチンがある2階建て住宅のキッチンの壁や天井などです。住宅のキッチンの壁や天井には、ビニールクロスが貼られた石膏ボードなどが多く利用されています。ただし、IHクッキングヒーターが利用されている住宅や公共施設のキッチンでは、内装制限の対象にはなりません。オープンキッチンの作りになっている場合には、LDK全体が内装制限の対象となるため注意しましょう。また、公共施設や住宅などの階段は、火災時の避難経路となるため内装制限があります。階段にも、ビニールクロスが貼られた石膏ボードなどが多く用いられます。柱や梁が露出しており見付面積が各部分の10分の1を超過している場合には、内装制限となります。梁においては、準不燃材料以上の認定を受けた材料を使用する必要があるため注意しましょう。

また、公共施設においては、自動車車庫には準不燃材料・地下街などの防火区画された部分には準不燃材料以上の材料を利用するよう定められています。

認定条件を遵守して施行された仕上げ箇所には、防火施行管理ラベルと呼ばれるラベルが貼付されます。防火施行管理ラベルは、不燃材料が赤・準不燃材料が緑・難燃材は青になっています。内装制限が厳しく規定されるようになったのは、過去に公共施設や住宅などで痛ましい火災事故が多発したことによるものです。特に、公共施設の火災で100名以上の死傷者を出した昭和47年の千日デパート火災などが教訓となっています。多くの命や施設自体を一瞬にして奪ってしまう火災から身を守るために、公共施設や住宅を建てるときには材質などにもこだわる必要があります。

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