意外にも知らない?天袋の存在

「天袋(てんぶくろ)」と聞いて何をイメージしますか?「初めて聞いた」、「天袋?何それ?」と思った方も多いのではないでしょうか。そこで、今回はこの天袋が何なのか、どういう風に使うのかを実際の例と合わせてご紹介します。

1.天袋とは?

「天袋」とは、「書院造りの部屋の床の間脇に設置された違い棚の上部の袋戸棚」のことです。床面には、木目の美しい「アカマツ」や「ケヤキ」などの化粧板が多く用いられていました。現在では、押入れの上部に設置された小さな戸棚を指すことが増えています。押入れと天井の間の戸棚と言えばイメージしやすいでしょう。昭和の古い木造住宅では、床の間の上部にこの天袋が設置されることも多々ありました。

天袋の扉は違い棚式が多く、古くはふすまを用いていました。このふすまの部分に絵が描かれていたり装飾を施したりして個性を持たせていましたが、現在は天袋にはシンプルな木製の扉を多く用いるようになっています。

和室の減少とクローゼットの登場により、以前と比べると天袋の需要はやや低くなっています。ですが、近年では扉の無いタイプの天袋を設置するなど、従来の天袋とは異なった個性的な使い方が増えている点は注目すべき点です。

また、現在では中身は同じでも扉を押入れと一体型にしている天袋も登場し、開閉のしやすさから人気になっています。

2.天袋の特徴

天袋の特徴を、以下にまとめてみました。

・高い場所に設置されているので、出し入れに踏み台などが必要

・季節物など、普段使わない物の収納に最適

天袋のすぐ上は天井です。そのため、高所にある天袋を使う際には、踏み台などに登らないと物の出し入れができません。女性に限らず、男性でも同様です。そのため、天袋は重い物を収納するのには適していません。この使いづらさがデメリットとなり、現在では天袋を設置しないタイプの部屋も普及しています。

しかし、この天袋の使いにくさが逆にメリットにもなっています。天袋は、季節物など、普段使わない物の収納に最適です。年に数回しか使わない物を押入れにしまってしまうと、普段は邪魔以外の何者でもありません。そんな年に数回しか使わない物こそ、天袋にまとめて収納してしまうことで収納スペースを効率良く利用できます。

また、学生時代の思い出の品や記念品など、普段は使わないけれど捨てられないような物も天袋にまとめてしまうとスッキリするでしょう。思い出の詰まった大事な卒業アルバムも、毎日見る訳ではありませんからね。

3.天袋の利用の仕方

ここでは、天袋の上手な利用方法を解説していきます。

・取っ手付きの収納ボックスにまとめる

・収納する物にはラベリングをしておく

・エアコンを設置してしまう

・棚を設置して小さなコレクションルームに

まず、天袋の収納に関してのポイントです。大事なのが、「取っ手付きの収納ボックス」を使うことですね。高所にある天袋から物を取り出すとなると、いくら軽い物でも取っ手が無いと奥まで手を伸ばさなければいけません。これでは年に数回と言っても取り出すのに不便です。そこで、取っ手付きの収納ボックスに物をまとめて入れておくことで、手前からでも簡単に物を取り出すことが可能になります。特に女性が物を取り出す時に効果を発揮してくれるでしょう。

収納ボックスを使う時は、その中に何が入っているか外から見えるように「ラベリング」しておくことも大切です。苦労して取り出しのに、「これじゃない!」となってしまっては一苦労。ラベリングをして取り出す前に中身が分かれば、手間が大きく省けるでしょう。

ここからは、天袋のちょっと特殊な利用方法になります。まず最初は、天袋の扉を外してエアコンを設置してしまうという手段です。エアコンも立派な季節物。使わない時は扉などで目隠しをし、使う時だけ見えるようにしておくことで壁からの圧迫感を抑えられます。エアコンに限っては、壁へ設置する場合でも高所になってしまうので、どうせ設置するなら天袋のスペースに格納してしまうのも一つの手ですね。また、天袋を使うことで、壁へ設置するよりも上部にホコリが溜まりにくいというメリットもあります。

最後は、天袋をコレクションルームにしてしまう方法です。DIYなどで天袋の寸法に合わせた棚を作っておけば、大好きなCDや本、フィギュアなどを広々と飾っておけます。大事なコレクションだけど部屋が狭いなどで場所が限られている方は、この天袋を使って「魅せる収納」を試してみてください。中には、天袋にプロジェクターを設置して映画鑑賞を楽しんでいる方もいます。天袋は、アナタの趣味を反映させるベストスペースになるでしょう。

このように、天袋の利用方法には収納から観賞用まで、様々な方法があります。もし、アナタの自宅に活用していない天袋があるなら、どう活かしてみるか検討する価値は多いにあるでしょう。

これから住宅を建築する方は、限りあるスペースを有効に活かすために、天袋の設置を前向きにご検討ください。

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