木材の集成材工場では何をしているの?
1.木材の集成材工場で行われていること
木材の集成材工場では、一般的に以下の順番で加工が行われています。
1.縦継ぎ
2.削り
3.接着
4.再削り
5.カット
6.NC加工(NC:Numerical Control,数値制御、すなわちコンピュータ制御を指す言葉です。)
7.仕上げ加工
最初の縦継ぎは、小さな無垢材を繋ぎ合わせて1本の長い木材を作る作業です。無垢材同士は、接着剤を使って一つ一つ繋ぎ合わせていきます。 そして、ある程度の長さになったら、木材の端にジグザグの溝を作って無垢材同士を繋ぎ合わせます。
次の削り作業とは、 木材の側面を削って平らにする作業です。縦継ぎが終わった状態では、木材の側面に段差があるので、ここの削り作業で一旦平にする必要があります。 削りをすることで、木材の側面が滑らかな手触りになります。
その次の接着では、削りをして側面が滑らかになった木材同士を接着剤で固定し 、幅広い板を作ります。 木材同士に隙間ができないように、プレス機で圧力をかけながら接着していくのが特徴です。
その後は再削りです。再削りでは、接着をして段差ができた木材を再び滑らかにします。フリー板は、この状態で完成となります。
次のカットでは、注文に応じて木材を切り出していきます。最初に巾をカット(木材を細くするカット、縦方向に刃を入れる)してから長さをカットするのが一般的な方法です。
カットされた木材は、NC加工へと移ります。NC加工では、コンピュータ制御によって、注文に応じた特殊な加工をしていきます。 加工の例としては、木材を曲線にカットしたり溝を彫ったりなどです。
最後は、仕上げ加工を行います。サンダーやサンドペーパーで木材の表面をなだらかにしたり、 NC加工では対応できない細かな形状を加工したりしていきます。仕上げ加工では、手作業で行われる作業が多いのが特徴です。そのため、熟練の技が必要になってきます。
これで木材の加工は終わりになります。完成した木材は梱包をして、発送されるまで倉庫で保管されます。
2.木工機械の種類と特徴
木材を加工する機械には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。木材加工に使用する機械をまとめました。
・圧縮固定機
・縁貼機
・ボーリング
・超仕上げカンナ盤
・NC工作機
・四面カンナ盤
・溝突盤
・建具組立機
・ラジアルソー
・プレス機
・パネルソー
・集塵機
木材の成形と接着で使用するのは、圧縮固定機と縁貼機です。圧縮固定機を使って小さな無垢材に接着剤と圧力をかけて成形し、縁貼機で木縁材やその他の材料を貼り付けていきます。
削り作業時に使用するのは、超仕上げカンナ盤と四面カンナ盤です。超仕上げカンナ盤は、木材にできた溝や段差をなだらかに仕上げてくれます。四面カンナ盤は、名前の通り一度に四面のカンナかけができる便利な機械です。これまでは削りには熟練の技が必要でした。ですが、上記のような機械の登場で、より速く正確に仕上げることが可能になっています。
ラジアルソーとパネルソーは、木材のカットで使用する機械です。ラジアルソーは、アーム部分を調節することで様々な角度で木材をカットできるのが特徴です。一方のパネルソーは、縦の切断しかできません。ホームセンターにも置いてあるので、パネルソーは見たことがあるかもしれませんね。
木材の加工では、ボーリング、NC工作機、溝突盤が活躍します。ボーリングは、名前の通り穴を開ける機械です。同時に複数の穴を開けられるので、ダボの作成に重宝します。NC工作機は、機械に数値や作業内容を記憶させることができるので、量産する際に活躍します。そして溝突盤は、木材に溝を彫るための機械です。溝入れの他に、背割りもできます。
組立てで使用するのが、建具組立機とプレス機です。建具組立機は、扉や引き戸を組立てる際に使用し、プレス機は箱物の家具を組立てる際に使用します。
最後の集塵機は、木材をカットする際に出る粉塵を吸引してくれる機械です。作業中は大量の粉塵が発生するので、集塵機は作業場に欠かせません。
3.プレカットとは?
「プレカット」とは、あらかじめ工場で木材加工をした建築木材のことを指します。1990年代から徐々に普及し、現在では木造住宅の90%以上でプレカットが使用されています。
プレカットでは、機械で数値をプログラムして加工を行うので、品質のムラが少なく大量の加工を行えるのがメリットです。また、プレカットした木材を使用すると、建築現場で手作業による加工の必要が無くなります。その結果、作業時間の短縮になり、工期を短縮できるという特徴もあります。
4.プレカットの難しいところ
一見するとメリットの多いプレカットですが、当然欠点もあります。プレカットが苦手とするのは、以下の2つの加工です。
・ほぞの勾配
・超仕上げの寸法合わせ
まずは、木材の接合部分にあたるほぞの勾配です。ほぞの加工は、現場で作業がしやすいように微妙な勾配を付けます。この部材の納め方は現場や職人によって異なることから、機械での微調整がしにくい部分になります。このように、微調整が必要な加工は、プレカットが苦手とする部分ですね。
超仕上げも同様です。超仕上げは、表面をカンナで削ってツルツルにする加工ですが、ミリ単位以下での微調整が必要になります。プレカットでこの微調整を制御するのは、困難と言えるでしょう。
プレカットを行うには、単に図面を見て機械加工するだけでなく、現場での職人への配慮も必要になってきます。木材への知識と建築方法の知識、どちらも合わせ持つことで、より良いプレカット加工ができます。