全国各地に存在する木材の有名産地

日本には、ほとんどの都道府県に良い木材の名産地があります。日本は、その土地柄、そして気候風土が、優秀な木材の生育に適しています。その上でも特別な名産地の木材は、ブランド木材と言ってよいでしょう。以下で、国内の有名な木材の名産地などについてまとめました。

1.木材の名産地はどこ?

日本は、良い木材の名産地が、ほぼ各都道府県にあるといえます。さらに、近年、国をあげて国内木材の需要拡大のためにあらゆる施策をしているので、全国の森林の手入れが進み、より良い木材が産出されるようになるでしょう。

<木材の名産地はほとんどの都道府県にある!>

日本は木材が豊富な国土です。また、日本国は南北に長い列島を持ち、標高差も大きいです。気候条件も幅広く、亜寒帯から亜熱帯まで一つの国に存在します。そのため、様々な種類の樹木を見ることができる国土であり、木の種類も地域性を持ち、バラエティ豊かです。木材にその名前が付くほどの有名産地は、全国に分布しています。ですから、日本全国、ほとんどの都道府県に木材の有名産地が存在しているといえるのです。

<良い木材は、【手間をかける】ことから生まれる>

良い木材は、手入れや【優れた技術】なしにはできません。日本では、木材の輸入が盛んな時期がありました。その時代には、国内の木材が消費されなくなってしまったのです。その結果、日本の森林資源が過去40年間で、約2.5倍に増加することに。伐採がされない、手つかずの木がある時代があった、ということです。木は日頃から枝打ちなどの手入れが必要です。生い茂った枝は日射しを遮ってしまい、根を弱らせてしまうからです。上質な木材を得るためには、絶え間なく手をかけてやることが求められます。

林野庁が、平成27年に、国産材の需要拡大のための報告書を作成しました。現在、国産木材の消費を促すさまざまな施策がとられはじめています。国産材の需要はこれからますます拡大するでしょう。それに伴って、国内の、植栽→育林→間伐→主伐→植栽という、山の健康的な木のサイクルは、ますます盛んになっていくといえます。ですから、日本の木材の産地は、その多くが、名実ともにますます高品質の木材名産地となっていくことでしょう。

2.木材にブランドってあるの?

木材にも【ブランド】があります。ブランド化された木材とは、①国産材であること。 ②丁寧に製材された品質の良い物であること。 ③名産地の木材であること。 を満たす木材商品と言えるでしょう。国は、良質な木材を産出すること、さらに木材の品質を高める製材技術を普及させることを進めています。良質な木材とは、良い木を高い製材技術で作り出した物といえます。木材は良い木を切り出せば、そのまま資材として使えるわけではありません。メーカーが工夫をして、優れた乾燥技術などで製品にしているのです。

さらに、各都道府県には、木材の名産地があります。中でも、特に有名な名産地の木材は、それだけでブランド木材と言えるでしょう。昔からブランドの木~名産地の名前がついた木~はありましたが、近年の農林水産省の推進事業により、新たに脚光を浴びることになりました。本当のブランド木材とは、木そのものの品質の良さ、そして、製材技術の高さも加わって作られる高級木材といえるでしょう。

3.ブランドのスギ材とは

ブランドのスギ材とは、品質が良い上に、名産地で伐採された木材といえます。品質の良いスギ材とは、【心材】の部分が、桃色から濃赤褐色の木材です。心材とは、木の中心あたりを指します。スギの中で、心材が黒い物は【クロシン】と呼ばれており、建材にしたときに美しくありません。さらに、クロシンのスギは、水分量も多いため、木材として利用しにくく、低く評価されているのです。

名産地のスギとしては、奈良県の吉野スギが、特に有名です。室町時代に人工植林が始まった、日本最古の造林地としても知られています。山守(やまもり)と呼ばれる林業家によって、丁寧に育てられたスギは、現在も明治神宮や京都御所などの、有名建築に利用されています。日本三大人工美林と呼ばれる地域があることをご存知でしょうか。奈良県・三重県・静岡県は、江戸時代から続く、手入れの行き届いた上質な木材がとれる林業地として有名な場所です。吉野スギは、まさしく、この三大人工美林の中の1つでとれる木材です。

スギは生育期間が短い木です。それゆえに、戦後効率よく資源をとるために、たくさん植林がなされました。ですので、今でもスギの資源量が多いのです。スギは、価格も安価な傾向があり、供給も安定的です。スギは、ヒノキと並んで、日本を代表する木材といえます。その中でも、吉野スギなどの特別に有名産地のスギは、ブランド化されたスギといえるでしょう。

4.ブランドのヒノキ材とは

ヒノキは一般的にも、高級な木材とされています。その上、名産地のヒノキであれば、ブランドのヒノキ材といえるでしょう。ヒノキはスギと比べると、成長に時間がかかるため、木(心材)の密度が高く、強度があります。ヒノキは木材として優れた性質を持つため、珍重され、育成の手間もかかることから、高価な木材として取引されてきました。ヒノキは、辺材部分が美しい白色であるため、古くから神社・仏閣用の木材としても使用されてきました。辺材とは、心材と反対の部分、木の外側の層を言います。また、ヒノキには特有の芳香があり、人にリラックス効果を与えてくれます。

ヒノキの名産地としては三重県の尾鷲ヒノキが日本一といわれています。関東大震災のときに、尾鷲ヒノキを使って建てられた家の倒壊が少なかったことから、評判になりました。現在でも、ヒノキの中では、最高の強度であることが確かめられています。尾鷲ヒノキは、周辺の生物にまで配慮した森林整備がされているため、国際的にも認証を受けています。さらに2018年には、農林水産省が認定する賞【日本農業遺産】にも指定されました。日本農業遺産とは、我が国において、特に重要かつ伝統的な農林水産地域と認める地域に与えられる制度です。以上のことからも、尾鷲ヒノキなどの木材は、特にブランド化されたヒノキといえるでしょう。

日本はいろいろな都道府県に、すばらしい木材の名産地があります。

日本は、良い木材が豊富な土地柄です。ここでご紹介しきれなかった、木材の名産地もあります。日本は、ブランド木材が身近にある恵まれた国といえるでしょう。あなたのそばの木材を見直してみてはいかがでしょうか。

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