集成材とは?無垢材と比べてみた

「木の家」と聞くと、温かくてホッとするイメージが湧きませんか?家を建てたいと思った時に、「木材」を使いたいと考える方も多いのではないでしょうか。木材は住む人の健康や安らぎを守るため、古来から使われてきた自然な材料の1つです。日本は他国に比べ地震が多いということもあり、ヨーロッパのようなレンガや石よりも、耐久性と耐震性に優れた木材が建築に用いられてきました。その証拠に、日本には「法隆寺」や「東大寺」などの歴史的建造物が多く残っています。

私たち日本人にとって身近な木材ですが、実は「集成材」と「無垢材」という2つの種類があるのを知っていますか?ここでは、「集成材」と「無垢材」それぞれの特徴やコスト、メリットやデメリットについて説明していきます。家を建てようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.集成材ってなに?

集成材はその名からも想像できるように、複数の板を結合させた人工の木材です。小さな板を乾燥させ、同一繊維方向で接着剤を用いて張り合わせます。一般住宅でよく使われ、大まかに「建造用集成材」と「造作用集成材」に分かれます。

建造用の集成材は厳格な規格と検査基準をもとに品質管理されるので、強度と安定性があることが特徴です。住宅を支えるための柱や梁(はり)としても普及しています。耐水性があり水分による反りが少なく、使い勝手が良いため、建造する際にも大工の腕による差はほとんど出ません。

造作用の集成材は安価で安定した品質が特徴で、テーブルの天板や棚板など幅広く使われ、DIYでもよく用いられます。

2.無垢材ってなに?

無垢材は、伐採した木をそのまま切り出して作った天然の木材です。そのため大量生産ができず、集成材に比べるとややコストがかかることが多いです。ただ、無垢材は集成材と違い科学接着剤を使わない木材です。ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンといった接着剤に含まれる揮発性有機化合物を放出しないため、人体に優しい天然素材になっています。

化学物質を使わない自然素材にこだわるのなら、無垢材に軍配があがります。

そのため、無垢材は主に、家具やフローリング、柱など、目に見える部分に使われることが多いです。

水分を吸収し放出する木の性質を反映しやすく、調湿性があります。湿度を調整する無垢材で作られたフローリングは、どんな季節でも快適に裸足で過ごすことができます。

その分、重く、反りや変形が出ることがあるので、扱う大工に技術が必要です。

3.集成材のメリット

集成材は無垢材と比べ、安価で購入できることがポイントです。小さな板を接着剤でくっつけているため、一本の木を余す所なく使えます。そのため一般的には無垢材を準備するよりも、集成材の方がコストがかからないのです。

また、強度や見た目の品質にバラつきが少なく扱いやすいため、ホームセンターでも用途に合わせたさまざまな大きさの集成材が販売されています。

加工時に含水率が規定されており、無垢材と比べ水分による反りやゆがみが少ないです。品質が安定しているので素人でも加工しやすいのが嬉しいところです。

4.無垢材のメリット

無垢材は集成材に比べやや高価ですが、本物の木が持つ重厚な雰囲気を味わえます。使い込むことで、その色つやが時間と共に良さが増していくのも趣深いです。また、削り直すことで、新品に近い形で蘇らせることもできます。

調湿性があり適度に水分を吸収したり吐き出すため、部屋の湿度を過ごしやすく保ってくれます。また、コンクリートの2倍ほど断熱効果があるので、冬は温かく夏は涼しく過ごすことができます。

5.集成材のデメリット

集成材に使われている接着剤に、シックハウス症候群の原因になる物質が含まれていることがあります。シックハウス症候群は、建材などに使われている化学物質が原因で起こる室内空気汚染による健康被害です。めまいや頭痛、喉の痛みなどの症状が現れます。

接着剤に含まれるホルムアルデヒドやトルエンといった揮発性有害物質が原因ですが、2003年に建築基準法が改正されホルムアルデヒドの使用が制限されました。

今は内装に関わる建材のほとんどが、ホルムアルデヒドの放散量が最も少ない製品ばかりになったため、被害の数は減少しています。

6.無垢材のデメリット

調湿性があるため水を含みやすく、ひずみや反り、ヒビや隙間が生じることがあります。この収縮は施工前の下処理で回避することができますが、集成材ほど品質が安定していないため、無垢材を扱う大工に技術が必要です。

無垢材は集成材に比べて汚れや傷が付きやすくなります。特に、スギなどの柔らかな無垢材を使用した場合は、凹みやペットの爪痕などが付きやすいです。

ただ、磨き直して新品に近い形に戻したり、敢えて水分を含ませて凹みを直すこともできるので、お手入れをすれば集成材のものより長く使用できます。

7.まとめ

集成材と無垢材、どちらが優れているというわけではありません。「天然ものの味わいや趣を感じる」「人に優しい」と謳われると、無垢材の方が優れているように感じますが、必ずしもそうとは限りません。

集成材は品質が安定していて反りや隙間がないため、無垢材に比べてお手入れもしやすいという利点があります。床の掃除がしやすいというだけでも、小さなお子さんがいる家庭には嬉しいことです。

無垢材のフローリングは水拭きやワックスがけといった定期的なお手入れが必要ですが、素材が柔らかく足腰に負担がかかりにくいため、高齢の方には無垢材の床が嬉しいかもしれませんね。

集成材も無垢材も、どちらも私たちの生活に欠かせない木材です。「集成材の方がお手入れがしやすいだろうか」「無垢材の方が足腰にも身体にも優しいだろうか」そんなふうに、木材を選ぶという行為も、優しさや思いやりの1つなのかもしれません。単純にコストだけで判断せず、集成材と無垢材をどこに使うのか、住む人や用途に応じて慎重に選ぶことが大切です。

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