アクアポニックスと木材

2021年4月3日(土)パナソニックセンター東京(東京都江東区)に「AkeruE」がオープンしました。当社は訪れたお客様をお迎えする受付の隣に「アクアポニックス」をお納めしました。今回はこの「アクアポニックス」の制作の裏側も含めてご紹介します。

1.制作物としてのアクアポニックス

現在の「AkeruE」には当然、完成したアクアポニックスが皆様をお待ちしています。さて、このアクアポニックスはどのように制作されたのでしょうか。制作過程にも目を向けていただけると嬉しいです。

1-1.企画・制作段階

今回の企画のお話をいただいたのはオープンの約1年前でした。そこからアクアポニックスの開発プロジェクトがスタートしました。コロナ禍ということもあり、対面での打ち合わせができない状況でしたので、Webでの打ち合わせを重ねて完成へと向かっていきます。

今回の加工にはNC機を用いています。そのためには、事前にプログラムを組んでおく必要があり、設計図面の作成から入念に行っていきました。今回はたくさんの部品を組み合わせていくため、1枚の大きな板から可能な限り無駄なく部品を切り抜くことが非常に大切となります。

実際に組み立てることを何度も行い、組み立てることができるかをしっかり確認しながら進めます。

今回の制作にあたって特に気を付けたのは次の2点です。

①「強度」:それぞれの階層に水槽や植物を設置するのでこれらに耐えうる強度が求められます。今回、樹種は国産材の「杉(CLT:Cross Laminated Timber)」を使用しています。選んだ理由は、床や壁に広く使用されており、十分に耐えうる強度を持っていると考えたためです。

②「防水」:水槽や植物を置くとなると飛び跳ねる水滴への耐性も不可欠となります。そこで、今回は防水塗料を塗布することでクリアしました。これで定期的なお手入れが不要になるということはありませんが、水への耐性は格段に上がっています。

1-2.オープン前の様子

組み立てていない状態でお届けし、現地で組み立てていただく形でお納めしました。

ご注目いただきたいのは接合部分です。一部ネジを使用していますが、それ以外の部分は木同士を組み合わせる形で固定してあります。ネジを使用するのと木のみで固定するのでは見た目の印象が変わるのではないかと考えています。特に今回は木の温かみをできる限りそのまま感じていただきたいです。

この接合部分は実際に着目していただき、見ていただきたいポイントです。このように国産材を使用したアクアポニックスが完成しました。ぜひ実物をご覧ください。

2.「AkeruE」に行ってみよう

2-1.アクアポニックスとは?

アクアポニックスという言葉を聞いたことがありますか。「Aquaculture(水産養殖)」「Hydroponics(水耕栽培)」の2つの言葉が組み合わさった言葉です。アクアポニックス内には魚がおり、その排泄物などを微生物が分解し、それが植物の栄養となる自然の循環サイクルが表現されています。

都市開発が進み、都内では日頃の生活の中で自然に接する機会は減ってしまっているかもしれません。このような状況の方々にアクアポニックスが自然に立ち返るきっかけを作りたいという想いが込められています。

アクアポニックスには様々な自然、そしてそこで暮らす生き物が集まっています。ここから皆様はどのようなことを感じるでしょう。

2-2.実際に体験してみて

2階の「GAIA」を進み、3階へ上がるとそこに待つのは「ASTRO(アストロ)」です。「ふしぎにであう」をコンセプトとしたこのエリアでは子供たちの好奇心や探求心を育み視野を広げるきっかけとなる多くの展示物に触れることができます。

白基調の広々とした空間の中に様々な展示物が置いてあります。ASTROには7つのアート作品が設置されているのですが、それらの作品の仕組みや成り立ちが理解できる原理展示も設置されています。これらを体験することで、アート作品の裏側を覗くことができます。他にも「つたえてつながる」をコンセプトとした自分で動画を撮影・編集できる「PHOTON(フォトン)」というエリアもありました。

「つくってあそぶ」をコンセプトとした「COSMOS(コスモス)」エリアは提示されるお題に対して想像力を働かせて作品を生み出す場所となっています。既に多くの作品が並んでおり、並んでいる作品は本当に様々。ここでたくさんの想像力が育まれている、そして、次はどのような作品が生まれるのか、楽しみでなりません。

一度始めると時間を忘れて集中してしまいます。そして、作って終わりではなく、自分の作品を撮影し、他の人が作った作品と並べてその関係性を考えてみるしかけもあります。今後は作品をSNSでも紹介をしていくとのこと。子供はもちろん、大人が行っても新たな気付きや発見が待っている、そのような空間なのだと感じました。

2-3.「AkeruE」の概要

パナソニックセンター東京(2階、3階)

住所:〒135-0063 東京都江東区有明3丁目5番1号

   りんかい線「国際展示場駅」徒歩2分

   ゆりかもめ「有明駅」徒歩3分

開館時間:10:00~18:00(最終入館は17:00まで)

休館日:月曜日、年末年始、その他営業時間の変更や臨時休館の可能性あり

料金:一般(子ども/大人):500円(オープニングキャンペーン割引価格,6/30まで) ※未就学児無料、予約不要

【Webサイト】

https://www.panasonic.com/jp/corporate/center-tokyo/akerue.html

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