世界三大銘木 ウォールナットの特性を知る

ウォールナットはチーク・マホガニーと並ぶ「世界三大銘木」の一つで、人気のある樹種です。紫色を帯びた暗褐色の木目は美しく、高級木材の代名詞と言ってもいいでしょう。人気樹種であるウォールナットの特徴を理解して、どんな空間で使うのがベストなのかを考慮してご使用ください。

1.ウォールナットの特徴

ウォールナット最大の魅力は美しい木肌です。製材直後のウォールナットは明るい色をしていますが、木材の中にある「フェノール酸化酵素」が空気に触れることで、数時間後には紫色を帯びた暗褐色へと変化していきます。

木目の美しさは、ウォールナットが空に向かってまっすぐに成長する樹種のため、整った木目になるからです。ウォールナットは幹が太く、中心の暗褐色の部分だけではなく、チョコレート色とクリーミーな白色のマーブル模様が特徴の辺材も現れます。辺材は、ウォールナットしか出せない独特のコントラストで、他の樹種では再現ができないことから価値が一層高まっています。

2.ウォールナットは世界中で愛されている樹種

ウォールナットの歴史は長く、17世紀後半のヨーロッパにまでさかのぼります。当時、ウォールナットは美しい木目・またその優れた加工性による装飾性が、非常に高貴な印象を与えていたことから、貴族たちの間で「富の象徴」として愛され、高級家具材に多く使われていました。この頃のヨーロッパでは「ウォールナットの時代」と呼ばれるほど人気があったのです。

芸術品をこよなく愛したイングランド王(現在のイギリス)のチャールズ2世は、ウォールナットで作られた高級家具がとてもお気に入りだったと言われています。

日本でもウォールナットブームがありました。1970年代からウォールナットの人気が高まり、多くの家具や化粧単板に使われるようになります。人気の高さからウォールナットの名前は全国に知れわたり、現在では高級木材の代名詞として認知されています。

3.ウォールナットの性質

ウォールナットの機能的な魅力は、優れた加工性と強い耐久性です。寒く厳しい土地で育つウォールナットは、硬く粘りの強い性質を持ちます。一方で軽量なため扱いやすく、加工がしやすい優れた木材です。

硬く粘りの強いウォールナットは耐久性が高く、木工技法の一つ「蒸し曲げ」などに最適で、木工職人に人気があります。衝撃にも非常に強いという特徴があり、ライフル銃の銃床の材料にもなっています。また、ウォールナットは乾燥処理後は狂いが非常に少ない木材で、季節によって生じる湿度の変化での膨張や収縮などの変形がしづらい性質を持っています。そのため、高い精度が要求される家具や高級な椅子などの調度品に重宝されています。

4.ウォールナットの用途

ウォールナットは用途によって最適な種類があります。

ウォールナットがよく使われるのは主に2種類です。

・アンティーク家具

・日常に使う家具(ダイニングテーブルや椅子など)や床材

アンティーク家具に使うウォールナットは主にヨーロッパ原産のウォールナット「イングリッシュウォールナット」が使用されます。赤みを帯びた木目が特徴で、光沢のある色合いで高級感あふれる素材です。

日常に使う家具や床材には、アメリカ原産のアメリカンブラックウォールナットが使用されています。硬くて丈夫なため分厚い板に加工後、ダイニングテーブルや椅子などが作られます。アメリカンウォールナットは、長年使うことで木目や表情の変化が楽しめるため、非常に人気があります。

5.まとめ

ウォールナットは世界三大銘木の一つで、世界中で愛されている樹種です。長い歴史の中でも不動の人気を誇り、現在でも家具デザイナーをはじめ様々な職人に愛されています。「富の象徴」と言われるほどの高級感は、他の樹種を探してもウォールナットの右に出るものはいないのではないでしょうか?また、他の樹種でのウォールナットと同じ機能を再現する樹種はほとんどありません。強い耐久性と高い加工性、衝撃の強さなどの多くのメリットが特徴のウォールナットは、様々な家具や床材に変化して、日常の空間を演出しています。ウォールナットを使って何を作り出したいのか?ウォールナットはコストがかかるため、使用用途を明確にすることがポイントです。とても魅力ある樹種なので、日常の生活に色どりを添えてくれるでしょう。

ウォールナットの参考表

樹種名ウォールナット
品種クルミ科クルミ属落葉広葉樹
産地アメリカ東部全域に分布・主な産地はアメリカ中部地方
特徴流れるような美しい木目を持ち、美しいだけではなく優れた機能を持ち合わせ、古くから世界中で愛されている人気の樹種です。ウォールナットは全世界で200種以上の種類がありますが、日本でウォールナットといえば、アメリカ原産の「ブラックウォールナット」です。ブラックウォールナットは、木材の中でも最高ランクの評価をされている高級木材。紫色を帯びた暗褐色の木目を持つ木材は、北半球ではブラックウォールナットのみで、高級木材の代名詞になっています。
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