木材の伐採方法

木材となる立木を伐採する。林業には必要不可欠なスキルです。では立木の伐採方法はどのようなものがあるのかご存じでしょうか?この記事では、立木の基本的な伐採方法と伐採での注意点をご紹介していきます。

1.立木の基本的な伐採方法

立木の基本的な伐採方法は「追い口切り」立木の伐採方法で一番基本となるのが「追い口切り」です。追い口切りとは、立木の根元部分に「受け口」と呼ばれる切り込みと、「追い口」と呼ばれる切り込みを入れて立木を倒したい方向へうまく倒木させて伐採する技法のことを言います。立木の伐採には、「受け口」と「追い口」という切り方が重要です。では、それぞれの切り方を解説していきましょう。

1-1.受け口 

立木を伐採する際、はじめに切り込みを入れるのが「受け口」です。受け口は、立木の根元をチェーンソーで真横と斜めに口の形のように切り込みを入れた切り口のことを言います。

立木は受け口側に倒れて伐採されるため、立木を倒したい方向に向けて受け口を作ることが重要になってきます。倒したい方向に受け口を作っていくのは熟練の技術が必要で、はじめは浅めに切り口を作り、倒したい方向に合っているのかを確認・修正しながら切り口を深く削っていきます。

受け口を作るサイズはどのくらいが良いのでしょうか?受け口のサイズには目安があり、切り倒す木の直径1/4の大きさが理想的です。実際に長さを測って受け口を作ることはありませんが、目視でだいたいの大きさをみて決めていきます。

1-2.追い口

受け口ができたら、追い口の切り込みを入れていきます。追い口は、受け口の反対側から水平に一直線の切り込みを入れていくものです。切り込みを入れる目安は、受け口の真横に入れた下切り部分を基準に、木の直径の約20%上の位置に切り込みを入れていきます。

追い口を入れる際に、必ず気をつけなくてはいけないのが「倒木」です。追い口を入れていくと、立木は受け口と追い口の影響を受けて傾き始めます。立木によっては、追い口の切り込みを入れている最中に倒木がはじまり、危険を伴います。立木が傾きはじめたら、倒木に巻き込まれる危険性がありますので、すぐに退避をしましょう。追い口の切り込みを入れる時には、細心の注意を払う必要がありますので、必ず覚えておく必要があります。

2.立木の伐採には事前準備が大切

立木の伐採には危険が伴います。事前準備無しに伐採作業にはいると、思わぬトラブルや事故につながりかねません。事故やトラブルの防止策として、事前準備をしていきましょう。

2-1.伐採作業時の服装

立木の伐採には、細かい木の破片が飛び散り、肌を傷つける原因になります。また、山中での作業ですから虫さされにも気をつけたいところです。そのため、伐採作業時の服装は、ケガを防止するために季節に関係なく、袖口の締まった厚手の長袖・長ズボンを必ず着用してください。

倒木でのケガや万が一のためのヘルメットやゴーグルの装着も欠かせません。チェーンソーを使う場合には、作業音が大音量のため、耳を保護する耳栓をつけましょう。また、チェーンソーでの足のけがなどは命にかかわる大変な事故に繋がりますので、専用の防護ズボンや安全靴の準備が必要です(防護ズボンの着用が義務化されています)。

2-2.伐採前に念入りな打合せ

立木の伐採作業は複数人数で行います。そのため、自分の役割分担の確認をする必要が出てきます。必ず作業前には全員が集まり、各自の役割分担の確認をしましょう。

立木の伐採をする際は、伐採中の木材周りで他の作業をすることを避ける必要があります。

打ち合わせや確認をあまりしないで、作業員の退避が間に合わず倒木に巻き込まれてしまう事故が過去にも起こっています。

3.立木の伐採は危険がいっぱいある

立木の伐採作業は常に危険と隣り合わせだということを肝に銘じて作業に取り掛かる必要があります。伐採は必ず基本の手順に従って行い、全員で常に安全対策を心がけることが大切です。

伐採作業中の事故の多くは、高所からの転落や倒木の下敷きになってしまうなどがあります。その他にも、チェーンソーの思わぬ反動で足や顔に大けがを負ってしまう事故や、その他の作業道具での事故にも気をつけなくてはなりません。

立木の伐採に未経験の作業員がいる場合には、必ず指導係をつけて安全対策から教えていくのが良いでしょう。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

立木の伐採方法は「追い口切り」が基本です。

「受け口」を作ることで倒木の方向を決め、「追い口」を作ることで倒木のタイミングを測るという非常に良くできた伐採方法です。

伐採には危険が伴うため、組織だった安全対策も必要不可欠です。

基本的な伐採方法と、倒木に対する安全対策が、伐採作業をスムーズにしてくれます。

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