塗料の違いから考えるフローリングの仕上がり

フローリングは塗装をすると、木目の美しさが引き立ち、木材の強度も増します。フローリングの塗装の種類は、大きく分けて、オイル・ワックス・ウレタン・UVの4種類。塗料によっては、自分で塗り替えができる場合もあります。フローリングを保護し、長持ちさせるためにも、あなたもフローリングを塗装しませんか。

1.フローリング塗装の種類と違い

フローリングの塗装は、大きく分けると【浸透系塗装(自然塗装)】と【コーティング系塗装(合成樹脂塗装)】の2種類です。浸透系塗装とは、オイル塗装やワックスなど。コーティング系塗装とは、ウレタン塗装やUV塗装などです。

1-1.オイル塗装

オイル塗装とは、木の質感を活かしながら、自然な仕上がりにする塗装方法です。オイルをフローリングに浸透させることで、木材を保護します。亜麻仁油や荏胡麻(えごま)油・桐油・ヒマワリ油などの植物油を原料としたオイルです。オイル塗装は木材の呼吸を妨げないので、木材が、家の湿度調整などの機能をはたしてくれます。その点がメリットといえるでしょう。

デメリットとしては、オイル塗装は、傷や汚れへの耐性がほとんどありません。ですから、メンテナンスをする際には、一度付いたシミや傷などをサンドペーパーで落としてから、オイルを塗る必要があります。

反面「お手入れが気軽」とも言えます。

半年に一度、お手入れすることが理想的です。

1-2.ワックス塗装

ワックス塗装も、オイル塗装同様、元々の木の質感を活かした仕上がりになる、塗装方法です。違う点は、オイル塗装は木の内部まで浸透するのに対し、ワックス塗装は、表面のみの塗装になるところです。ワックス塗装は、蝋(ろう)を使用した塗装方法です。ミツバチ由来の蜜蝋や、植物由来の蝋などさまざまな種類があります。最近は蝋が主成分のワックスはあまり現場で使用されません。合成樹脂が主成分の樹脂系ワックスが主流です。樹脂系のワックスは、従来の天然由来のワックスに比べると、光沢や耐摩耗性に優れています。

ワックスのメリットは、剥離(はくり)が簡単であるということでしょう。

デメリットとしては、樹脂系ワックスは扱いが、一般の人には難しいということでしょう。

半年に一度のお手入れをおすすめします。

1-3.ウレタン塗装

ウレタン塗装とは、木材の表面を強力にコーティングする塗装方法のことです。長期にわたって、強力に、フローリングの美しさを保つ仕上がりになります。ウレタン塗料とは、ウレタン樹脂を主成分とした塗料です。

ウレタン塗料のメリットとしては、①塗料ののびが良い ②ひび割れが起こりにくい ③水をはじく ④多少の傷に強い ⑤光沢がある、ということです。これらは、塗料としての人気の理由でもあり、初心者でも扱いやすい特徴があります。

デメリットとしては、ウレタン塗料は、木材の呼吸を妨げるので、部屋の湿度調整の機能効果などは期待できません。また、工場製品としてウレタン塗装されたフローリングは、専門家でないと手入れや補修が難しい、とも言えます。

美しい光沢などを保つためには、半年に1回ほど、木質フローリング専用ワックスでお手入れをすると良いでしょう。

1-4.UV塗装

UV塗装とは、紫外線を照射することによって、硬化する特殊な塗料を使った塗装方法です。ガラスを貼ったような、きらきらとした美しい、高級感のある塗膜面を作る仕上がりです。近年の複合フローリングには、ほとんどの場合、UV塗装が施されています。複合フローリングとは、複数の木材を貼り合わせた合板の上に、天然木を薄く貼り合わせた木材です。

UV塗装のメリットとは、①塗膜面の強度が(ウレタン塗装よりも)高い ②超速乾性で仕上がりが早い ③耐久性に優れている ④汚れがたまりにくいので衛生的 ということがいえます。

反対に、デメリットとは、①現場で塗装ができない ②商品がやや高価 ③塗り直しができない ということがあげられます。

UV塗装は、基本的には、工場で製作するしかできません。塗料自体が特殊であることや、製作のために機材が必要なことなどからです。しかも、価格が高くなりがちです。さらには、傷が付きにくい代わりに、もしも傷がついてしまったら、塗り直しができず、傷を直すことができません。

2.フローリング塗装の方法

フローリングの種類や塗装方法によっては、自分で塗装し直せる場合があります。コツを押さえて、仕上がりの良い塗装にしましょう。

(1)オイルの塗装方法

①塗装面の汚れを固く絞った雑巾で拭いたり、80番のサンドペーパーかけをする。

②床に掃除機をかけて、ホコリやチリを吸い取っておく。

③塗料を塗りたくない場所にはマスキングテープを貼る。

④刷毛(はけ)で、オイルを木目に沿って薄く塗る。

⑤塗料を乾燥させる(乾燥が早いタイプで3~4時間かかる)。

(2)ワックス(蜜蝋ワックス)の塗装方法

①フローリングの汚れやホコリを取り除く。

②ワックスをワックス用スポンジで塗る。

③蜜蝋ワックスを均一に1回塗りをする。

④乾いた布で拭き上げる。

⑤半日~1日程度、乾燥させる。

(3)コーティング材の塗装方法

①フローリング上にある家具などをすべて移動させる。

②スポンジにつけた剥離剤で、古いコーティングを剥がす。

③剥離したゴミを雑巾などで吸い取り、床を乾燥させる。

④壁紙などをマスキングテープなどで保護しておく。

⑤1回目のコーティング材塗布(1~2日乾燥)。

⑥2回目のコーティング材塗布。

3.フローリング塗装の効果

フローリングの塗装は、木材を【保護】する役割を持ちます。フローリングの表面に塗装という【膜】をはることで、汚れや傷の付着を防ぐ効果が期待できます。

フローリングは、床にひいたカーペットのように簡単に変えることができません。ですから、傷や汚れから床を守るために、塗装が必要なのです。さらに言うと、木材の塗装は木目をより美しく際立たせ、魅力的に引き立ててくれるものです。また、塗装によって、汚れが木材にこびりつくことを防ぐので、日頃は簡単なお掃除でのお手入れができるようになります。1回塗る塗料を、何度か重ねて塗ることで、それまでと違うニュアンスの、深い色合いのフローリングを楽しむこともできます。

4.フローリングを塗装から楽しもう

フローリングは塗装によって、外観も機能も変化します。

オイル系・ワックス系は天然の木を活かしたナチュラルな仕上がりになりますし、ウレタン塗料やUV塗料は、木材をがっちりと保護する仕上がりになります。

フローリング塗装は、ご自分がどのような家づくりをしたいのか、まずはそこから考えてみてはいかがでしょうか。

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